今年のチームジャージを品評したいじゃない2022
01/28
あけましておめでとうございます(遅)。
引越した後の片付けが一向に進まず、走り初めもまともにできてないんですがこれだけはがんばりました笑。
昨年内にイネオスを皮切りにちらほらと発表された各チームの新デザインがどれも凡庸で「やばい、逆の意味で今年は選べないかもしれない」とハラハラさせられた今年のチームジャージ。自分なんてイネオスの新ジャージがショックで急いで2021年のグレナディエの「A」が入ったジャージを買っちゃったくらい。それでも今年のプロトンを彩るのはどんなジャージなのか、どんなチームなのかが明らかになっていくのには変わらず気分が上がる。
ではでは〜話題性のあった今年のチームジャージをピックアアップ!
【ちょっとお父さんの休日のシャツで賞「Movistar」】
年が明け、モビスターの新ジャージが我々の話題をかっさらった。大幅リニューアルをしてからここ4年はデザインを変えてこなかったのが、スポンサーである「Telefónica Tech(テレフォニカテック)」のロゴが変わったということでこれを機にジャージのデザインも変えることになったそう。
「あれ、なんか既視感が・・・」
「Sky?」
ざわめくタイムライン。
そう、ランダムに細い横線が入るデザインは2017年のSkyジャージを彷彿とさせた。Skyは勝利数を表していたのに対し、こちらは躍動する精神を表しているんだそう。よくよくみるとスピード感を表現するように横線の両端がフェードアウトで途切れている。線が縦に等間隔に入っているのでパッと見た感じボーダーシャツ感がする。緩慢な線の入り方におじさんのパジャマをイメージしてしまうのは自分だけだろうか。バルベルデが着ているのを見るとより一層・・・おっと。もっと強弱つけて配置したらかっこよかったんじゃないかな。
ロゴの「M」は水色のままで、ジャージの色は長年モビスターのジャージカラーだったネイビーに戻した。これは、今年で引退(ということに今のところなっている)バルベルデの最後のシーズンを、そのキャリアの中でもっとも身につけていた色で終わらせたいという思いからなのかなと頭をよぎる。もしかしたら実は「ここからまたバルベルデ無双が始まる」ということかもしれない。
La Passione unveils 2022 Movistar Team kit / Movistar Team 公式
https://movistarteam.com/en/2021-12-15/2022-la-passione-kit
【そのスティッチどうにかならないの?で賞「Team BikeExchange-Jayco」】
青い、グリーンエッジが青い・・・
スポンサーの「Jayco(ジャイコ)」のブランドカラーの青かなと思ったけど、今年から機材を提供する「GIANT(ジャイアント)」のブランドカラーらしい。両者とも青だしといったところもあるのかもしれない。ジャイアントのブランディングと同じようにメンズには青、ウィメンズにはナス色(!)なんだそうだ。あれはナス色だったのね。ジャイアントはウィメンズラインのLiv(リブ)においてグラフィックデザインの力を発揮しているように思う。小物なんて買っちゃおうかなと思う時も時々あるし、フレームの塗装も美しい。このジャージもよくよく見ると単純なグラデーションだけではなく、フェードアウトする半透明の矩形を重ね合わせて奥行きのある透明感のある仕上がりになっている。不思議なのは正面の模様の入れ方が男女で違うところだ。メンズが襟元まで模様が入っていて模様の上にロゴがあるのに対し、ウィメンズは胸の下までで上部の白地にロゴが入っている。思わずまゆを潜めてしまいそうな青いステッチは上まで模様を入れたがための仕切りかと思ったけどそうでもないのか。カラーのステッチって子どもの頃流行ったなぁ。
The new Team BikeExchange-Jayco Kit / Alé
https://alecycling.com/en/magazine/the-new-team-bikeexchange-jayco-kit-b21.html
【東京2020で賞「Cofidis, Solutions Crédits」】
コフィディスのジャージを取り上げるのは今年が初めてだ。コフィディスといえば太陽のマークと赤白黄色の変わり映えのない印象だ。それをここにきてガツンと変えてきた。
今年でチームは25周年、同一企業がスポンサーをつとめるチームとしては一番長い歴史を持つことになる。白をベースに胸の下から明るめの赤と暗めの赤が交互に重なる。背中には全体にその赤いグラフィックが入り、その上に大きくコフィディスの名前とあの太陽のマークが入る。赤の重なりが奥行きを出し、さらに黄色を排除したことで今までよりすっきりと落ち着いた雰囲気を出している。シンプルだがデザインツールの合成モードで簡単にできそうでできなかった。縦にロゴを入れるのも新鮮な調和を見せている。しかしどうも東京2020を思い出しちゃう。
【一番かわいいで賞「Israel – Premier Tech」】
去年フルームが参入したこのチーム、成績はまずまずだったんじゃないだろうか。どこ行っても強いウッズをはじめ、ベン・ヘルマンスやダニエル・マーティン、グライペルおじさん、スミットたちが意地を見せた。そして、イスラエルの選手Itamar Einhorn(イタマルさん)がワールドツアーであるツール・ド・スロバキアで一勝を挙げた。スポンサーであるイスラエルの企業「Start-Up Nation Central(スタートアップ・ネイション・セントラル)」がイスラエルの企業を支援する企業なのでよかったよね。
そして今年のジャージかわいいじゃない。この模様、北欧風?
いやいやこれまたびっくり、バウハウスデザインから来ているんだそうだ。
スタートアップ・ネイション・セントラルとジャージを提供する「JINGA(ジンガ)」の本拠地はテルアビブにある。テルアビブが設立されたのは20世紀初頭、バウハウスが人気を博した頃と同時期だった。テルアビブの街は文化や芸術の中心であれと、バウハウスのルールに則ってデザインされたんだそう。そして、このジャージにそんなテルアビブの街への愛や、バウハウスデザインへの共感を表現したんだそうだ。もうテルアビブに興味津々である。(参考:下のジンガのインスタ)
模様と白のセパレート部分はモチーフの形を生かしたカーブで区切ることで、模様を機能的で意味のあるものに変えている。この模様は靴下にも使われていて、他にもいろいろな小物に展開できそうだ。
新しくスポンサーになったお騒がせ企業Premier Techの存在が心配だが、さらに勢いのある年になってほしい。
【混沌と調和で賞「EF Education EasyPost」】
おっそーい。
今年もワールドツアーのスケジュールが始まるギリギリでようやく発表。すでに4チームをセレクトしていたのでEFはもういっかなと思っていたけど見ちゃうと好奇心がむくむく。去年より好きだな。
今年はプロモーション動画を見る限りおそらく様々な地形のパターンや風景の写真を使い、コンピューター処理によってランダムな模様が生み出されている。そこにチーム伝統のアーガイルが全体に大きくオーバーレイされているのだ。この不規則なパターンにアーガイルという規則的なパターンを合わせるのは難しい。ギリギリありにしているのはアーガイルのサイズの選択と馴染ませ方の巧みさだろう。ウィメンズチームの方は線と模様が紺色ではなく水色なので全体に明るく線が模様に馴染んでいる。それに対しメンズは例年通りの紺色で線を見せ、それに合わせてEFのロゴを斜めに大きく配置している。よくみるとこの写真を元にした模様も菱形チックになっている。線と模様とロゴが調和のために細部にわたって調整されている。
This is us. We’re proud to pull on these new kits from Rapha as we roll into the season. pic.twitter.com/Rgdy1weiAL
— EF Pro Cycling (@EFprocycling) January 25, 2022
オンロードやオフロード、あらゆる地形に挑戦するマインドと伝統のアーガイルとEFのロゴのすべてがどれが引くということなく混在する。まさに "This is us." 。チームとしては昨年頭角を現してきたエイキングはんやパデュンが加わったことだし、ますます力強く異彩を放って欲しい。
New kit day / EF PRO CYCLING 公式
https://www.efprocycling.com/culture/new-kit-day/?mc_cid=4f0bcb3fc9&mc_eid=bdb98cbc76
以上〜!
今年の全体のトレンドとしては「白」。
なぜか胸から上は白のジャージが多く、プロトンを前から見ると白っぽいんじゃないかなと思う。そう言った面ではプロチームやウィメンズチームのデザインの方が面白く感じた。
そうだ、BORAも今年はちょっと大きなデザイン変更だったので軽く。ジャージの提供がイタリアの「Sportful(スポルトフル)」からイギリスの「Le col(ル・コル)」に変わり、スポンサーのカラーを組み合わせたモザイク調になった。なんでかアメリカの大学スポーツ(主に野球)から着想されたそう。スポルトフルはサガンについていってトタルにチームジャージを提供している。サガンがいなくなったりサムベネさんが帰ってきたりと大きな動きがあったけど、若い選手がみんなで盛り立てて行くチームになってほしいということなのかな。これも面白い。
BORA - hansgrohe presents a completely new design for 2022
https://www.bora-hansgrohe.com/en/press/team-news/bora-E28093-hansgrohe-praesentiert-sich-2022-in-voellig-neuem-design/626944948
結局盛り上がってきてつい盛りだくさんに!
今年も盛り上がって参りましょう〜
written by C.K