WAKAYAMA800をゆく2019 すさみー古座「ぼたん荘」

4/27 22°C13°C

一昨年コンタドールが訪れたWAKAYAMA800があまりにもキラキラしていて、
それ以来走ってみたい場所ナンバーワンになってしまった。

GWのお宿はすぐ埋まってしまうので、早々とルートを立てた。 すさみから勝浦までコンタドールの足跡(ホイール跡)を追って3日をかけて辿る。各日は60km弱にとどめた。60kmは普段でも走っているから不安はないけど、連日走るのは初めての挑戦だ。

白浜までの飛行機が売り切れだったので、新幹線で大阪に行き、くろしお号ですさみまで輪行する。白浜からすさみはWAKAYAMA800のサイトでは山の多い中級とあったのでルートからは外し、すさみからスタートして海を楽しむことにした。

6時半の新幹線に乗り、9時半に新大阪、そこからくろしお号に乗り換えて11時半にすさみに到着した。楽しみ過ぎてろくに眠れなかったため、初日からコンディションが心配になる。

すさみ駅前は特急が止まる駅にしては小さい。ひなびた定食屋と釣りの人のための渡船があるくらいで住宅街の中にある駅と行った感じだ。

日は強いのに空気が冷たい。例年GWの旅は夏用の半袖ジャージとアームカバーでよかったけど、今回は悩んで長袖ジャージにしたのは良かった。
駅前でちゃっちゃと組み立てを済ませる。荷物はリュックとサドルバッグ。天気が後半崩れそうなので雨具も一式入っている。

お昼なので出発前に近くの「すさみ屋」さんで軽くお昼をいただく。名物のさんま寿司と名物のまぐろをはじめとしたお刺身を注文。名物だなんて知らなかったけど、さんま寿司脂がのってて最高。

さて、いよいよ出発!
海に出て熊野街道を走り出す。

・・・風!
めちゃくちゃ風が強い。そしてGWだからか車が途切れることがあまりない。海を見る余裕もなく、横目でチラ見・・・なんでだよ!

海を見る時はポイントポイントで停車。写真は婦夫(めおと)波。なんでも破れた波がここでぶつかり合って一つになるからだそう。ようやく和歌山の海を満喫。

ずっと平坦ではなく、たまに山を越えるインターバルが続く。内陸で風が和らいだと思ったら今度は坂だ!

風&坂の繰り返し!
下りでは下からの煽るような風に自転車の操作がわからなくなる。下ハンで思わずブレーキをかけてしまうからこれまた怖い。
風と坂のインターバルを繰り返しているうちにアドレナリン大放出で、和深で内陸に入るところを通り過ぎてしまった。和深トンネルを抜ける前に左に折れましょう。

和深からはWAKAYAMA800ではジオパークルートと呼ばれるルートに移る。和深から内陸に入り、平均6%ほどの峠を越えると古座に向かって降って行く。

山に入れば風が止むのかと思ったら今度は山の風だ。海の神山の神本当にありがとうだよ・・・
車は途端に通らなくなったので、そこはホッと一息だった。川のせせらぎや鳥のさえずりを聞きながら、なだらかな登りが山へと続く。

矢鱈(やたら)坂がここ1番の難所だったが車通りも少なく、自分のペースで楽しく登れたので良かった。

峠を越えると林道を下る。ところどころで湧き水が出ていて、汲めるようになっているので試しに飲んでみるとこれがびっくり。体に染み込むような、体が目覚めるような、「水」がここにはある。きれいな海もそうだけど、これが水の国わかやまの核なんだ。幾多の旅人がまた歩き出す元気をもらっただろう・・・

しだいに民家が見えてくる。田んぼは水が張りたてで鏡のようだ。農作業の方々と目が合って挨拶すると快く返してもらえて嬉しい。俄然積極的に挨拶しながら走る。写真はプレハブの壁に描いてあった絵。

三尾川の流れとともに下ってトンネルを抜けると一枚岩が見えてきた。
一枚だ!でかい!
コンタドールが川辺で腰を掛けていたところはおそらく近くのお店「鹿鳴館」の階段を降りたところと思われる。しばらくコンタドールに想いを馳せていると、もはや日が傾いてきた。 三尾川と合流した古座川を横目に急いで降る。暗くなる前に今日のお宿、月ヶ瀬温泉「ぼたん荘」に着いた。

ぼたん荘は外にサイクルラックもあり、館内に自転車を収納する専用の倉庫もあるサイクリストに優しい宿だ。
お宿の方に「この辺はいつもこんなに風が強いんですか?」と聞くと昨日からでいつもはこんなに強くないんだそう。

夕食の後には滝の拝の夜の姿を観に行くナイトツアーに参加した。
動物が山から降りてきて道路に飛び出してくるそうで、この日もシカやイノシシやタヌキが現れてさながらナイトサファリのようだった。
この辺では木の幹を切り抜いた巣箱で日本バチを養蜂しているという話など面白い話をたくさん聞かせてもらった。滝の拝ナイトツアーは滝の拝の先のご出身のご主人が宿泊客を楽しませるものはないかと考えながら、夜に滝の拝を歩いている時に思いついたのだそうだ。
ぼたん荘はとてもハートフルで良い滞在になった。

この日の走行距離は46.25km。
和深から古座までのルートは自分にはキツくて後悔するのではと思いながら計画を立てたけど、こんな登りがダメな自分でも行けたので誰でも行けるはず。
WAKAYAMA800にあった初心者〜中級は確かだった。それに紀伊の豊かな森林と水脈は素晴らしく、びびってルートから外さなくてよかった。

  1. 白浜前の景色
  2. すさみ駅はきれい
  3. すさみ食堂
  4. ぷりぷりサンマ寿司
  5. 熊野街道に出る
  6. 婦夫波
  7. インターバル(登り)
  8. 振り返ってみると・・・
  9. 山へ向かう
  10. 辻啓さんっぽく撮ってみた
  11. 一番の斜度
  12. 下りの林道
  13. これはぜひ味わってみてもらいたい
  14. アートなペインティングが可愛い
  15. スケールが大きくてフレームにおさまらない一枚岩
  16. ぼたん荘の外にあるサイクリングラック(これは翌日撮った)
  17. 街まで降りてきてしまうシカさんたちは可愛いけど困った存在

written by C.K